村松ファンへ 特選文庫紹介

「虹の天象義」

瀬名 秀明   祥伝社文庫 400円(税込み)



プラネタリウムを題材にしたSF小説がかきおろされ、出版されました。

作者は「パラサイト・イブ」で有名な、瀬名秀明さん。

科学者でもある瀬名さんは、多くの文献、取材をもとに、

SFの舞台を築き上げます。

もちろんこの小説のためにも、プラネタリウム関連の資料を集め、

関係者の話をきき、調べたそうです。 


五島プラネタリウムの最終投影からものがたりははじまります。

主人公は、永年この館で技術係として機械の保守と投影解説の

仕事をしてきた五十四歳の「私」。

五島プラネタリウムの技術係と解説員をしていたおじさんといえば、

村松さんとよーーーく似た人物です。

取材を受けた村松さんは、瀬名さんにも「村松ワールド」を

語り聞かせたことでしょう。

あくまでも小説、作り話とはいえ、村松さんのエッセンスも

ところどころにちりばめられていて、

村松さんが「遺書のかわりにこの本を読めといいます」と

いったとかいわないとか。

全て実話と思っている人もいるようですが、それはさすがに違います。

でも、そのフィクションとノンフィクションの絡ませ具合が

瀬名マジックなのでしょうね。


他の様々な「現実の記録」をも土台にするように、つくられた小説。

ものがたりを「紡ぐ」という言葉が似合いそうです。


小説では日本にあったツァイスプラネタリウム三台にふれられます。

日本で初めてのプラネタリウム、大阪電気科学館。

二番目のプラネタリウム、有楽町東日天文館。

戦争で焼失された東日天文館プラネタリウムに代わって、渋谷五島プラネタリウム。

はじめのページにツァイスIV型の図ものっています。

これで400円なら、試しに読んでも損はない!と思いますよ。