私が選んだ150曲
井上太郎編

K番号順リストはこちらから

ミサ曲
K139 《孤児院ミサ》 ハ短調 12才の時に作曲された驚くべき曲。
K262 《ミサ・ロンガ》 ハ長調 《ロンガ》といっても30分位の曲。知られざる傑作だ。
K317 《戴冠式ミサ》 ハ長調 1791年にプラハで行われたレーオポルト二世の戴冠式で演奏されて以来この名がついた。式典にふさわしい名作。
K337 《ミサ・ソレムニス》 ハ長調 ザルツブルク時代の最後を飾るミサ曲の傑作。
K427 《大ミサ曲》 ハ短調 未完ながら驚嘆すべき作品。
K626 レクイエム ニ短調
ヴェスペレとリタニア
K321 《主日のためのヴェスペレ》 ハ長調 ザルツブルク時代の教会音楽はミサ曲よりヴェスペレの方がよい。実に魅力的な楽想に溢れた傑作。
K339 《証聖者の盛儀のヴェスペレ》 ハ長調 ザルツブルク時代の最後を締めくくる名作。当時の教会音楽の様式のほとんどがここにある。
K195 《聖母のためのリタニア 》 ニ長調 同じ時期に作られたミサ曲にない、繊細な美しさを持つ。第2曲のソプラノ独唱と合唱の対比は絶妙。
K243 《聖体の祝日のためのリタニア 》 変ホ長調 モーツアルトの教会音楽の多彩な魅力をこの1曲に集めたような作品。
その他の教会音楽作品
K222 オッフェルトリウム《主のお憐れみを》ニ短調 マルティーニ神父に批評を求めた曲。ベートーヴェンの《第九》の合唱の有名な旋律に似たものが出てくる。
K260 オッフェルトリウム《来たれ、もろもろの民》ニ長調 二つの四部合唱団が交唱する珍しい曲。ブラームスが高く評価し、自ら指揮をして演奏したと言われる。
K341 キリエ ニ短調 まさに最高傑作。最近この曲が1780年でなく最晩年のものではないかと考えられるようになった。
K165 モテット《踊れ喜べ》 ヘ長調 有名な曲。第2楽章のほのぼのとした暖かさは絶品。最終楽章のアレルヤは、ソプラノのコンチェルトさながらである。
K273 グラドゥアーレ《聖母マリア》 ヘ長調 母なるものへのあこがれが、心にしみいる旋律で唱われている。私の愛してやまない珠玉のような名作である。
K618 モテット《アヴェ・ヴェルム・コルプス》 ニ長調 モーツァルトの教会音楽の行き着いた頂点はこの曲であろう。わずか3分半の小品ながら奇蹟としか言いようがない。
オラトリオ
K35 オラトリオ《第1誠の責務》 11才の時の驚異的な大作。アリアにおける声と管弦楽の使い方の信じがたいほどの巧みさ。
K118 オラトリオ《開放されたベトゥーリア》 15才のときの作品。ニ短調の序曲をはじめ、短調の曲が多く、モーツァルトのシーリアスな表現が聴く者の心を打つ。
オペラ及び劇音楽
K345 《エジプト王タモスのための合唱曲と幕間音楽》 《魔笛》の先駆をなす異色の作品。幕間音楽は極めて劇的。
K344 《ツァイーデ》 作曲者の死後に遺品の中から発見された未完の作だが、アリアや重唱にすぐれたものが少なくない。
K366 《クレタ王イドメネーオ》 モーツアルトの劇的表現の最高のものがここにある。
K384 《後宮からの逃走》 モーツアルトの生前に最も多く上演されたヒット作。
K492 《フィガロの結婚》 これほど完成度の高いオペラは古今絶無だろう。
K527 《ドン・ジョヴァンニ》 こんなに奥の深い作品はない。
K588 《コシ・ファン・トゥッテ》 「いき」の極致といえる精妙な作品。
K620 《魔笛》 モーツァルト自身はこれが一番好きな作品だったのではなかろうか。
K621 《皇帝ティトの仁慈》 《魔笛》を中断して短期間に作られた最後のオペラ・セーリア。
コンサート・アリア
K272 レチタティーヴォとアリア《ああ、予感がしていたの/ああ、私の目の前から消え去って》 プラハ在住でモーツァルトと親交のあったドゥーシェク婦人のために書かれた。深い思いがこめられている傑作。
K294 レチタティーヴォとアリア《アルカンドロよ、私は忠告しよう/どこから来たのか私は知らない》 恋人アロイージアに献げられた最初の曲。特に入念に作られている会心の作。
K295a レチタティーヴォとアリア《もう、沢山、あなたが勝ったのだわ/ああ、私を見捨てないで》 マンハイムの宮廷歌手ヴェンドリング夫人の為に作られた。心理描写がすばらしい傑作。
K316 レチタティーヴォとアリア《テッサリーアの民よ/不滅の神々よ、私は求めはしない》 アロイージアに献げられた曲。モーツァルトが書いた、最も高い音が出てくる難曲。
k383 アリア《我が感謝を受け給え》 《後宮からの逃走》と並行して書かれた珠玉のような曲。
K416 レチタティーヴォとロンド《わが憧れの希望よ/ああ、汝は知らず、如何なる苦しみかを》 アロイージアのために書かれた傑作。高度な技巧と劇的な迫力がむすびついた恐るべき難曲。
K431 レチタティーヴォとアリア《あわれ、夢かうつつか/あたりに吹くそよ風よ》 不気味な墓場の場景を描くレチタティヴォからアリアの最後まで、劇的な迫力に満ちた長大な傑作。
K432 レチタティーヴォとアリア《そなたはかくも裏切るのか/苦しく恐ろしい後悔が》 バスの名歌手フィッシャーのために書かれた。ヘ短調の悲劇的な表現がすばらしい。
K490 シェーナとロンド《もう言わないで、すっかりわかりました/恐れないで、愛する人よ》 《イドメネーオ》の再演の際に新たに書かれた曲。ロンドでは美しいヴァイオリンの序奏が付く。
K505 シェーナとロンド《どうしてあなたが忘れられようか/恐れないで、愛する人よ》 ピアノコンチェルトに歌が入るような珍しいスタイルの曲。ソプラノの名花、ストレースの告別演奏会で協演された。とりわけ深い思いが込められた傑作。
K612 アリア《このうるわしい御手と瞳のために》 非常に技巧的なコントラバスの序奏がついためずらしいバスのアリア。
重唱とリート
K436 ノットゥルノ《いまこそあのむごい時が来た》 仲間同士の集まりで歌われたらしい小品の1つだが、心をふるわすようなところがある。
K476 リート《すみれ》 ゲーテの詩によるバラード風の名作。短いなかに凝縮された表現に、少しも無駄がない。
K519 リート《別れの曲》 恋人とのつらい別れを唱う。ヘ短調で書かれ、旋律が特に美しい。シューベルトを思わせるような作品。
K520 リート《ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いたとき》 モーツァルトが作った最も短いドラマであろう。わずか21小節から生まれる感動!
K523 リート《夕べの想い》 リートの分野の最高傑作。人生の最期の時を見通した深い表現が聴くものの心に迫ってくる。
ピアノソナタ
K280 ピアノソナタ第2番 ヘ長調 喜びにあふれる第1楽章、孤独のつぶやきのような第2楽章、洒脱な第3楽章。どこをとっても素敵な曲。
K310 ピアノソナタ第8番 イ短調 異常なまでに切迫した感情の高まりが、聴く者の心を打つ。中間楽章は束の間の夢と言おうか。
K330 ピアノソナタ第10番 ハ長調 コケティッシュな女性の会話を思わせる第1楽章と、物思いに沈んだような第2楽章との対比が面白い。軽妙洒脱な曲。
K331 ピアノソナタ第11番 イ長調 有名な曲。この曲はチェンバロで弾いた方が面白い。ことにトルコ行進曲はピッタリだ。
K332 ピアノソナタ第12番 ヘ長調 楽想が実に豊かな傑作。私はK331より高く評価する。夜想曲のような第2楽章、奔放な第3楽章が特にすばらしい。
K333 ピアノソナタ第13番 変ロ長調 流麗極まりない秀作。第2楽章に後期ロマン派のような和声が出てくる。
K457 ピアノソナタ第14番 ハ短調 通常、幻想曲ハ短調に続けて演奏される。
K533 ピアノソナタ ヘ長調 知られざる野心作。前衛的と言ってよい第2楽章は強烈な不協和音や大胆な転調に満ちている。
K545 ピアノソナタ第15番 ハ長調 ピアノの初心者のための曲だっが、モーツァルトは完璧な造形をほどこしている。最上の入門曲だ。
K570 ピアノソナタ第16番 変ロ長調 簡素なスタイルの内に孤独感がにじみ出ている第2楽章が特に感銘深い。
K576 ピアノソナタ第17番 ニ長調 対位法的なところが多く、技術的に手強い。第2楽章は深い憂愁がただよっている。
その他のピアノ曲
K573 《デュポールのメヌエットの主題による変奏曲》 ニ長調 この分野で一番有名。主題の性格をのびのびと生かして多彩な変奏を展開している。
K397 幻想曲 ニ短調 深沈としたアルペジオで始まる感動的な曲。
K485 ロンド ニ長調 爽やかな小品。初心者の教材によく使われる。
K511 ロンド イ短調 暗い情感が心を震わす傑作。
K540 アダージョ ロ短調 深い悲しみに沈んだこの曲は、モーツァルトの独白の様だ。ランゲが描いたピアノに向かう肖像にふさわしい曲。
K574 小ジーク ト長調 1分半ほどの小品だが、バロック的で、かつ現代的。
K475 幻想曲 ハ短調
二台のピアノおよび四手のピアノ曲
K448 二台のピアノのためのソナタ ニ長調 二台のピアノの演奏会には欠かせない名作。ピアノ同士の会話の面白さを満喫できる。
K426 二台のピアノのためのフーガ ハ短調 バッハを勉強していたころの作品。重厚で大胆なフーガだ。後に前奏がつけられて弦楽合奏用に編曲された。
K497 四手のためのピアノソナタ ヘ長調 シンフォニーのような趣を持つ第一楽章、ロマンティックな第二楽章が、特に素敵だ。
K521 四手のためのピアノソナタ ハ長調 爽快な第一楽章、甘美な第二楽章、喜びにあふれる第三楽章。この分野の最後を飾る名作。
特殊楽器のための曲
K608 《自動オルガンのための幻想曲》 ヘ短調 ベートーヴェンも研究したという傑作。今では大オルガンや弦楽合奏で演奏されることが多い。
K616 《自動オルガンのためのアンダンテ》 ヘ長調 高い音域で書かれていて、天上の音楽のように響く。
K617 《グラスハーモニカと弦・管楽器のためのアダージョとロンド》 水を入れたブランデーグラスのふちを、ぬれた指でこするとヒューンと鳴るが、この原理による奇妙な楽器を使った美しい曲。
ピアノとヴァイオリンのためのソナタ
K301 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ト長調【第25番】 のびやかなヴァイオリンの歌に始まる第一楽章、甘美な第二楽章、まさに青春そのものだ。
K296 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ハ長調【第24番】 第一楽章の弾むような主題は、これを送られた15才の少女のようにコケティッシュだ。
K304 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ホ短調【第28番】 若いモーツァルトの心のおののきが伝わってくる。私にとって、かけがいのない曲の1つ。
K378 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 変ロ長調【第34番】 モーツァルトの「スプリングソナタ」と名付けたい。私の愛してやまない曲の1つ。
K379 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ト長調【第35番】 第一楽章の長い序奏がすばらしい。主部はト短調。第二楽章の変奏曲もよくできている。
K376 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ヘ長調【第32番】 歯切れのよい第1楽章、優雅な第2楽章、パパゲーノの歌を思わせる第3楽章、いづれも面白い。
K454 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 変ロ長調【第40番】 演奏会に作曲が間に合わず、ピアノはモーツァルトが楽譜なしで演奏した。第2楽章の中間部に不思議な気持ちに誘われるところがある。屈指の名作の1つ。
K481 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 変ホ長調【第41番】 《フィガロ》と並行して書かれた。第二楽章は旋律の美と転調の面白さで引きつける。
K526 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ イ長調【第42番】 この分野に立つ名作。長調と短調の間を揺れ動く第二楽章のアンダンテは絶品といってよい。
弦楽二重奏曲
K424 弦楽二重奏曲 変ロ長調 ミヒャエル・ハイドンのピンチヒッターとして書いた曲の1つ。2つの楽器をフルに使った素敵な作品。
弦楽三重奏曲
K563 ディヴェルティメント 変ホ長調 6楽章40分あまりの大作。非常に深いものを感じさせる第2楽章が特に聴きどころ。
弦楽四重奏曲
K387 弦楽四重奏曲 ト長調【第14番】 「ハイドン・セット」のトップを飾る名作。作曲者の意気込みがすみずみまでみなぎる。
K421 弦楽四重奏曲 ニ短調【第15番】 「ハイドン・セット」中、唯一の短調の曲。最後のシチリアーノ風の変奏曲がとりわけ美しい。
K428 弦楽四重奏曲 変ホ長調【第16番】 ロマンの薫り高い曲。第2楽章にワーグナーの《トリスタン》を思わせるところがある。
K458 弦楽四重奏曲 変ロ長調《狩》【第17番】 有名な曲。爽快な第1楽章から終曲まで、弦楽4重奏曲の醍醐味が存分に味わえる。
K464 弦楽四重奏曲 イ長調【第18番】 緻密に作られ、ベートーヴェンが自分の手本として研究した名作。第1楽章が特に優れている。
K465 弦楽四重奏曲 ハ長調《不協和音》【第19番】 第1楽章の序奏部に問題の不協和音が出てくる。第2楽章を、小林秀雄は祈りにたとえた。
K499 弦楽四重奏曲 ニ長調【第20番】 あまり知られていない傑作。第3楽章は絶品ともいうべきもの。終曲はスケルツォ風。
K575 弦楽四重奏曲 ニ長調【第21番】 「プロシア王セット」の第1曲。第2楽章の美しい旋律は歌曲《すみれ》に似ている。
K589 弦楽四重奏曲 変ロ長調【第22番】 「プロシア王セット」に共通するチェロの優位が目立つ。ハイドン風の終楽章の対位法はみごと。
K590 弦楽四重奏曲 ヘ長調【第23番】 この分野の最後の名作。第2楽章の静かなたたずまいは、最晩年の境地をものがたっている。
弦楽五重奏曲
K174 弦楽五重奏曲 変ロ長調【第1番】 17才の終わりに作られた傑作。4楽章とも充実している。第3、第4楽章は後に書き直している。
K515 弦楽五重奏曲 ハ長調【第3番】 規模の大きさ、楽想の豊かさ、完成度の高さ、どれをとっても最高。第1級の名作。
K516 弦楽五重奏曲 ト短調【第4番】 小林秀雄の「モオツァルト」に引用されている曲。ト短調の特色が最もよく出ており、悲しみの表情は心をえぐるばかりだ。
K593 弦楽五重奏曲 ニ長調【第5番】 最終楽章の第1主題が後の人による改ざんと判明され、新全集で訂正されている。第2楽章が特に素晴らしい。
K614 弦楽五重奏曲 変ホ長調【第6番】 ハイドンの弦楽4重奏曲《鳥》の引用が出てくる。小鳥のさえずりのような、人間臭の少ない音楽。
ピアノ三重奏曲
K498 《ケーゲルシュタット》 変ホ長調 九柱戯というボーリングをやりながら書かれたという曲。変わった楽器の組み合わせによる渋い音色に独特の味がある。
K542 ピアノ三重奏曲 ホ長調 ロマンティックな味の濃い曲。ことに第二楽章の、郷愁を感じさせるような歌が美しい。
K548 ピアノ三重奏曲 ハ長調 男性的で時に悲愴な響きを伴う第一楽章とチェロが活躍する第二楽章が特によい。
ピアノ四重奏曲
K478 ピアノ四重奏曲 ト短調 気迫に満ちた第一楽章、ロマン的な第二楽章、晴朗な第三楽章。名作の名に恥じない曲。
K493 ピアノ四重奏曲 変ホ長調 伸びやかな美しい曲。第二楽章にはロマン派の和音を先取りしているような響きがある。
管楽器をともなう四重奏曲
K285 フルート四重奏曲 ニ長調 弦のピッチカートに乗ってフルートが唱うロ短調での第二楽章が聴きどころだ。
K370 オーボエ四重奏曲 ヘ長調 オーボエは楽器の中のアルレッキーノであろう。この楽器をこれほど生かした曲は少ない。
管楽器をともなう五重奏曲
K452 ピアノ五重奏曲 変ホ長調 「自分が今まで書いた最上のもの」と手紙で語っている会心作。さながら管楽器とピアノの小型のコンチェルトのようである。
K581 クラリネット五重奏曲 イ長調 私の愛してやまない曲。
交響曲
K183 交響曲【第25番】 ト短調 17才の秋に作られた驚くべき傑作。
K201 交響曲【第29番】 イ長調 18才の秋に作られた傑作。25番とともに青春の記念碑だ。
K297 交響曲《パリ》【第31番】 ニ長調 満々たる野心がすみずみまで感じられる。それまでにない大編成で書かれた華麗な力作。
K319 交響曲【第33番】 変ロ長調 モーツァルトの《田園シンフォニー》ともいわれる楽しい曲。ことにフィナーレが面白い。
K338 交響曲【第34番】 ハ長調 ザルツブルク時代の最後を飾る秀作。繊細な第2楽章と奔放なフィナーレが聴きどころ。
K385 交響曲《ハフナー》【第35番】 ニ長調 ウィーン時代の幕開けを飾る有名な傑作。
K425 交響曲《リンツ》【第36番】 ハ長調 モーツァルトにおけるハ長調の典型ともいうべき曲。
K504 交響曲《プラハ》【第38番】 ニ長調 第1楽章の劇的な序奏と、息もつかせぬポリフォニーが聴きどころ。
K543 交響曲【第39番】 変ホ長調 第1楽章の序奏からアレグロに入る当たりが聴きどころ。第3楽章も有名である。
K550 交響曲【第40番】 ト短調 私のモーツァルトとの出会いの曲。
K551 交響曲《ジュピター》【第41番】 ハ長調 モーツァルトといえどもこの作品を越えることはできなかったであろう。
セレナード、ディヴェルティメント、その他のオーケストラ小品
K203 セレナード【第4番】 ニ長調 美しい楽想が次々と現れて聴き手をあきさせない。18才の天才の、なんという豊かさ。
K250 セレナード《ハフナー》【第7番】 ニ長調 ハフナー家の婚礼の前夜、夏の庭園で演奏された素敵な曲。ヴァイオリンのソロも美しい。
K320 セレナード《ポストホルン》【第9番】 ニ長調 シンフォニックな第1楽章、管楽器の活躍する第3楽章、悲歌風の第5楽章など、聴きどころが沢山ある。
K361 《13管楽器のためのセレナード》【第10番】 変ロ長調 映画《アマデウス》でサリエリとモーツァルトとの初めての出会いの場面で使われた。実に素晴らしい曲。
K388 セレナード【第12番】 ハ短調 室内楽風に緻密に作られた秀作。この曲は後に弦楽5重奏曲に編曲されている。
K525 《アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク》 ト長調 誰でも知っている曲。
K136 ディヴェルティメント ニ長調 青空を駆け抜けるように爽快この上ない。
K287 ディヴェルティメント 【第15番】 変ロ長調 全体にスッキリとまとまった美しい曲。セレナードといった方がよいかも知れない。
K334 ディヴェルティメン【第17番】 ニ長調 私の大好きな曲の1つ。特に第1,第2楽章がよい。
K522 《音楽の冗談》 ヘ長調 モーツァルトが音で描いたユーモア。至るところに抱腹絶倒の仕掛けがある。下手くそな素人作曲家や演奏家を痛烈にからかったケッサク!
K477 《フリーメーイスンのための葬送音楽》 ハ短調 深遠な感動を呼ぶ作品。モーツァルトは子供っぽいという友人がいたら、まず聴かせてごらんなさい。
ピアノ・コンチェルト
K271 ピアノ・コンチェルト《ジュノム》 【第9番】 変ホ長調 この分野での最初の傑作。悲劇の舞台を見るような第2楽章、多彩な第3楽章がよい。
K414 ピアノ・コンチェルト【第12番】 イ長調 ウィーン好みの洒落た曲。しっとりとした第2楽章と対照的な第3楽章はブッフォ調。
K449 ピアノ・コンチェルト【第14番】 変ホ長調 自作目録の最初に記された曲。長調と短調の間をたゆとう第2楽章を私は特に愛する。
K450 ピアノ・コンチェルト【第15番】 変ロ長調 管楽器による一風変わった主題で始まる。第2楽章は実に美しい変奏曲。最後は元気一杯のロンドで結んでいる。
K451 ピアノ・コンチェルト【第16番】 ニ長調 魅力的な主題で飾られた第1楽章、暖かで優艶この上ない優雅な第2楽章が見事。終楽章は長大なロンドである。
K453 ピアノ・コンチェルト【第17番】 ト長調 非常に楽しいパパゲーノ風の第1,第3楽章に対し、第2楽章は明暗が激しく交錯し、言葉のないドラマのよう。
K456 ピアノ・コンチェルト【第18番】 変ロ長調 第2楽章の主題は《フィガロ》の第4幕冒頭のバルバリーナのアリアにそっくり。この主題による凝った変奏曲。
K459 ピアノ・コンチェルト【第19番】 ヘ長調 明朗快活な曲。ブッフォ調の主題とフーガという意表をつく組み合わせの第3楽章が一番の聴きどころだ。
K466 ピアノ・コンチェルト【第20番】 ニ短調 有名な傑作。ドラマティックな第1楽章が特にすばらしい。
K467 ピアノ・コンチェルト【第21番】 ハ長調 よく知られた名作。特に第2楽章は非常に美しい。一見単純な旋律が、実に精妙な和声で飾られている。
K482 ピアノ・コンチェルト【第22番】 変ホ長調 重厚な大作。ハ短調で書かれた第2楽章が特に優れている。第3楽章にはオペラの一場面を思わせるような変イ長調のアンダンテの部分が挿入されている。
K488 ピアノ・コンチェルト【第23番】 イ長調 全体に流麗極まりなく、嬰ヘ短調で書かれた第2楽章の美しさはたとえようがない。私の特に好きな曲。
K491 ピアノ・コンチェルト【第24番】 ハ短調 この分野の頂点に立つ名作。当時の聴衆の理解を越える表現の深さがある。この曲は現代のピアノと大編成のオーケストラがふさわしい。
K503 ピアノ・コンチェルト【第25番】 ハ長調 3年間にわたったピアノコンチェルトの連作の最後を締めくくる大作。王者のような風格を持つ第1楽章が特に優れている。
K537 ピアノ・コンチェルト《戴冠式》【第26番】 ニ長調 有名だが深味に欠ける曲。あまりに高みににいってしまったモーツァルトは聴衆のために再び平易さを考えたようだ。
K595 ピアノ・コンチェルト【第27番】 変ロ長調 夕映えのようなこの作品を私は愛してやまない。
ヴァイオリン・コンチェルト
K216 ヴァイオリン・コンチェルト【第3番】 ト長調 19才のモーツァルトの奇蹟のような作品。
K218 ヴァイオリン・コンチェルト【第4番】 ニ長調 第3番より独奏が際だつ。歯切れのよい主題で始まるフィナーレが特に聴きどころだ。
K219 ヴァイオリン・コンチェルト【第5番】 イ長調 5曲のシリーズを締めくくるにふさわしい傑作。トルコ風ロンドなど、聴き手をあきさせない多彩な内容。
シンフォニア・コンチェルタンテ
K364 協奏交響曲 変ホ長調 2つの独奏楽器の個性を生かし切った素晴らしい曲。第2楽章の旋律は聴き手を酔わす。
K297B 協奏交響曲 変ホ長調 モーツァルトの作かどうか疑わしいとされる曲だが、少なくとも第1楽章は真作ではなかろうか。実に魅力的な曲。
管楽器を含むコンチェルト
K299 《フルートとハープのためのコンチェルト》 ハ長調 典雅なロココ模様のようにからみあう二つの楽器の個性を存分に生かした人気の高い名作。
K314 オーボエ・コンチェルト ハ長調 フルート・コンチェルト【第2番】ニ長調の原曲と考えられる。フルート・コンチェルトとして演奏される方が多いようだ。
K447 ホルン・コンチェルト【第3番】 変ホ長調 4曲のホルンコンチェルトの中で1番優れている。当時のナチュラルホルンで演奏するのは至難だったろう。
K191 ファゴット・コンチェルト 変ロ長調 さながら老いたる道化師のようなこの楽器の味を十分に生かした面白い曲。
K622 クラリネット・コンチェルト イ長調 最後の年の秋に完成された名作。



本リストは井上名誉会長のご好意によりご著書「わが友モーツァルト」より転載させて頂きました。




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