第183回例会の内容紹介


♪吉田連テノール・リサイタル

2021.4.18 14:00〜17:00  藤沢リラホール(第183回)


当日のプログラムより

 
出演: 吉田連
ピアノ伴奏: 田絢子

曲目:

モーツァルト・オペラアリア集

♪「イドメネオ」よりイドメネオのアリア
   Fuor del mar
  「海から逃れて」
♪「バスティアンとバスティエンヌ」よりバスティアンのアリア
  Grossen Dank dir abzustatten
  「厚くお礼申し上げます」
♪「フィガロの結婚」よりドン・バジリオのアリア 
  In quegl'anni in qui val poco
  「あの頃、まだ理性がそれほどに」
♪「ドン・ジョヴァンニ」よりドン・オッターヴィオのアリア
  Dalla sua pace
  「彼女の心の安らぎこそ」
♪「コシ・ファン・トゥッテ」よりドン・フェルランドのアリア
   Un'aura amorosa
  「恋の優しい息吹は」
♪「魔笛」よりタミーノのアリア
   Dies Bildnis ist bezaubernd schoen
  「この美しき絵姿」
 曲目解説
                  吉野 忠彦
モーツァルトのオペラとテノール
 その短い35年の生涯の間にヴォルフガンク・アマデウス・モーツァルト(1756-91)は未完のものを含めると22のオペラを書いたらしい。単なるオペラ作曲家としては当時これより多くの作品を残した人はいるが、モーツァルトが偉大なのはそれ以外の当時の音楽のジャンルのほとんどすべて(交響曲、管弦楽、協奏曲、室内楽、宗教曲、声楽など)で不朽の名作を生み出していることである。仮にオペラだけをとってもその中の1つや2つの作品、例えば「フィガロ」や「魔笛」のみを残しただけであったとしても彼の名前は永遠に記憶されたであろう。

♪「イドメネオ」より イドメネオのアリア「海から逃れて」
 第2幕でタイトル・ロールによって歌われる。このオペラは1780年にミュンヒェンの宮廷劇場で初演された「オペラ・セリア」(モーツァルト25歳)。ギリシャのクレタの王イドメネオはトロイア戦争からの凱旋途上、嵐で難破したところを海神ネプチューンに救われ、自国で最初にあった人物をいけにえとしてささげる約束をしたが、それが自分の息子イダマンテであったところから、苦悩にさいなまれる。

♪「バスティアンとバスティエンヌ」より バスティアンのアリア 「厚くお礼申し上げます」
 1768年にウィーンのF・A・メスマー博士(「動物磁気学」で当時一世を風靡した薮医師)の庭園で初演されたという1幕もののジングシュピール。村の若い羊飼いの男女の恋のいさかいを「占い師」コラが見事に和解させるという子供向きのお話。浮気をしているバスティアンがコラに久しぶりにあって以前のアドヴァイスに感謝していることを歌う。

♪「フィガロの結婚」より ドン・バジリオのアリア 「あの頃、まだ理性がそれほどに」
「フィガロ」では唯一のテノール役であるバジリオ(音楽教師)は主役ではなくアリアもこの1つがあるだけ。それも筋の進行には関係ないとして実際の上演ではカットされてしまうことが多いので今日、聴けるのは貴重な機会だろう。フィガロの伯爵に対する仇討への加勢を求められたのに対し、バジリオは「偉い人には逆らわない方がいい」と歌う。

♪「ドン・ジョヴァンニ」より ドン・オッターヴィオのアリア「彼女の心の安らぎこそ」
 ドン・オッタ―ヴィオは主役のドン・ジョヴァンニと対照的な紳士的で優しく、ちょっと物足りない草食系の騎士。父を殺された婚約者アンナの敵討ちに加勢するが成功しない。第2幕のアリアと並んでモーツァルトのテノールの超名曲。

♪「コシ・ファン・トゥッテ」より ドン・フェルランドのアリア「恋の優しい息吹は」
 2組の恋人同志の愛の忠誠心を試す賭けを老哲学者が仕掛け、恋人同士が入れ替わって互いのパートナー姉妹を口説くが、ついに2人ともが相手に陥落してしまう。このオペラは今まで以上に重唱が多く典型的なアンサンブル・オペラとなっている。主役の一人フェルランドが第1幕で恋人を思って歌うこのアリアは実に繊細で甘美、抒情的な名曲。

♪「魔笛」より タミーノのアリア「この美しき絵姿」
 第1幕の始めの方で主役タミーノ(エジプトの王子)が、夜の女王のさらわれた娘パミーナの絵姿を見せられ、すっかり魅了されてしまう美しいテノールのアリア。このオペラで精魂を使い果たしたかのようにモーツァルトは調子を下し、3か月後に急逝する。


◎出演者のプロフィール

吉田 連 (よしだ れん) テノール
 東京都出身。国立音楽大学卒業、同大学院修了。2016年『イル・トロヴァトーレ』使者にて本公演デビュー。その後『ナクソス島のアリアドネ』スカラムッチョ、『こうもり』アルフレート、『天国と地獄』ジョン・スティクスなど同公演に多数出演。また、ひたち野外オペラ『マクベス』マルコム、愛知芸文フェス『バスティアンとバスティエンヌ』タイトルロールなど日本各地で主要な役として出演するほか、昨年11月にはNISSAY OPERA 2020『ルチア〜あるいはある花嫁の悲劇〜』において急遽エドガルドの代役として出演、日生劇場での主演デビューを飾る。2020年9月よりオペラ歌手、アニメーション作家の仲間とともにYouTubeチャンネル「それいけ!クラシック」を開設。オンラインでのクラシック音楽の裾野を広げる活動にも積極的に取り組んでいる。二期会会員。シャネル・ピグマリオン・デイズ2018参加アーティスト。

田絢子 (たかだ あやこ) ピアノ
 東京都出身。国立音楽大学ピアノ科、卒業。同大学院器楽科伴奏(歌曲)コース、修了。大学院在学中より、新国立劇場オペラ研修所にてキャリアをスタートさせ、オペラを中心に伴奏ピアニストとして活動を始める。その後、新国立劇場オペラ研修所コレペティトゥール特別聴講生に推薦され、コレペティトゥールとして学びを深める。ロイヤルオペラハウスのヤングアーティストプログラムにゲストとして参加し、David Gowland氏の下で研鑽を積む。新国立劇場や、様々なオペラ団体の公演に関わる他、ジョン・健・ヌッツォをはじめ様々な歌手と共演を行う。ボランティア団体「らんたん」を立ち上げ、被災地への支援を続けている。2021年5月にはバリトン青山貴と白寿ホールにて、『詩人の恋』や日本歌曲を演奏予定。現在、新国立劇場オペラ研修所ピアニスト。洗足学園音楽大学非常勤助手。Pivot!メンバー。

 



Copyright(C)2010 SHONAN MOZARTIAN SOCIETY All rights reserved.