第53回例会の内容紹介
吉江忠男と津田真理による
モーツァルトとシューベルトの名曲
平成11年10月17日 14:00 藤沢リラホール
出演 パリトン:吉江忠男/ピアノ:津田真理

◎モーツァルトの歌曲
《すみれ》K.476
《クローエに》K.524
《春への憧れ》K.596
《タベの想い》K.523
◎モーツァルトのピアノソナタ
《ハ長調》K.330
ピアノ 津田真理
−ゲーテ生誕250年記念−
◎ゲーテの詩によるシューベルトの歌曲
《羊桐の嘆きの歌》D.121b
《たゆみなき愛》D.138
《最初の喪失》D.226
《魔王》D.328
《歌手》D.149
《竪琴弾きの歌》D.478,479,480
《さすらい人の夜の歌》D.224
◎モーツァルトのオペラより
《もう飛ぶまいぞ、この蝶々》(「フイガロの結婚」第1幕から)
《シャンパンのアリア》(「ドン・ジョヴァンニ」第1幕から)
《セレナード》(「ドン・ジョヴァンニ」第2幕から)
曲 目 解 説
◎モーツァルトの歌曲
《すみれ》K.476
モーツァルトがゲーテの詩に作曲した唯一の作品。野に咲くすみれが、愛らしい少女の胸に抱かれることを願いながら踏まれて死ぬ哀れさをうたう短い詩の内容を凝縮した傑作。
《クローエに》K.524
ヤコービの詩は、恋人をたたえた単純なものだが、モーツァルトはそれに明るく美しい曲をつけている。
《春への憧れ》K.596
湘南モーツァルト愛好会の歌としておなじみの曲。オーヴァーベックの詩は5月の到来を待ち望む子供の憧れをうたっている。
《タベの想い》K.523
カンペの詩によるこの歌曲はしみじみとした音楽が聴く者の心を打つ。モーツァルトの死への諦観がこめられた傑作として有名。
◎モーツァルトのピアノソナタ
《ピアノソナタ ハ長調》K.330
1783年にウィーンまたはザルツブルクで作曲されたとされる曲。
非常に明るく晴れやかな第1楽章に対し、第2楽章は内省的、とくにへ短調の中間部は悲しみを宿している。第3楽章は再び晴朗なロンドである。
◎ゲーテの詩によるシューベルトの歌曲
《羊角いの嘆きの歌》Op.3−1 D.121b
遠い国へと去った恋人を想い描く羊飼の悲しみをうたったこの曲は1814年17歳の時に書かれ、有名な《糸を妨ぐグレートヒェン》と同時期の傑作。
《たゆみなさ愛》Op.5−1 D.138
1815年に書かれた激情的な作品。雪や雨風を侵して、ひたすらな愛を信じて進む苦悩をうたう。
《最初の喪失》Op.5−4 D.226
初恋が破れた痛手をうたった珠玉のような小品。 1815年に作曲された。
《魔王》Op.1 D.328
1815年に書かれたすばらしい傑作。真夜中に疾駆する馬上には病む子供を抱えた父親がいる。子供は父に魔王が見えると訴えるが父には見えない。
魔王が子供を誘惑する気味悪い声も父には聞こえない。最後に子は魔王にさらわれたと叫ぶ。不安を感じた父は馬をさらに駆るが、腕の中の子はすでに死んでいた。ピアノは極めてドラマティック。
《歌手》Op.117 D.149
竪琴を手に諸国を遍歴するうたびとは、城の中に招き入れられて王の前で歌を披露する。王も妃も騎士たちもうっとりと聞き入る。王は褒美に金の鎖を与えようというが、うたびとはそれを辞退し、純金の盃一杯のワインを所望する。1815年に作曲。
《竪琴弾きの歌》Op.12−1,3,2 D.478.479.480
ゲーテの名作「ヴイルへルム・マイスター」の中に登場する老竪琴弾きの歌で3曲ある。この老人は貴族の出でありながら不幸な運命に弄ばれて今は遍歴の身。そのみじめな境遇を竪琴を弾きながら唱う。2曲目では非情な神への憤りを爆発させるなど心理描写が優れている。1816年に完成。
《さすらい人の夜の歌》Op.4−3 D.224 、
小品ながら深い情感が籠められている。この世の苦しみや悩みを越えたやすらぎこそ自分の求めているものなのだ、と唱っており、1815年に作曲。
なお、同じタイトルの別の歌がもう1曲ある。
◎モーツァルトのオペラより
《もう飛ぷまいぞ、この蝶々》「フィガロの結婚」K.192から
第1幕の最後に唱われる有名なアリア。一度聴けばすぐ覚えられるような旋律なので、初演を聴いた帰りに人々は早くも口ずさんでいたという。
《シヤンパンのアリア》「ドン・ジョヴァンニ」K.527から
短いアリアにドン・ジョグァンニの悪魔的な性格を凝縮した作曲者の手腕に感嘆の他はない。
《セレナード》「ドン・ジョヴァンニ」K.527から
ドン・ジョヴァンニが第2幕で、女を誘うためにマンドリンを弾きながら唱うセレナード。

=演奏者のプロフィール=
吉江忠男(パリトン)
長野県岡谷市出身。東京芸術大学で中山悌一、畑中良輔に師事する。同大学院に在籍中に《フイガロの結婚》の伯爵、《ドン・ジョヴァンニ》のタイトルロールでデビュー。
二期会新人賞、外国人評論家クラブM.B.C.A.Jを受賞。卒業後、1969年、日独交換留学生としてデットモルト音楽大学に留学。75年より12年間、著名なフランクフルト歌劇場の専属バリトン歌手として活躍。パヴァロッティ、カレーラス、プライなどともに共演した。
またこの間、エディンバラ音楽祭、ウィーン音楽祭などに参加する87年に活動の場を日本に移し、オペラの出演、リサイタルば かりでなく、岡谷市のバッハを主軸とした合唱団「カンタータ・コア」と「チェンバー・オーケストラ信州」の音楽監督を務め、岡谷市文化会館「カノラホール」の名誉館長でもある。
津田 真理(ピアノ)
桐朋音楽大学1年在学中にオーストリア政府の奨学金を受け、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽院に留学。ハンス・ライグラフに師事。
1983年の第34回ヴィオッティ国際コンクールで第1位及び特賞を獲得。86年にボルドー音楽祭 で金メダルを受賞。同年モーツァルテウムを最優秀で卒業。帰国後の活躍は多方面にわたる。

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