第61回例会の内容紹介
若きモーツァルティアンのためのコンサート
平成12年11月19日 14:00 藤沢リラホール
プログラム
ヴァイオリン 河内 多結
ピアノ伴奏 石野 真穂
モーツァルト
ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト短調 K.216
第1楽章 アレグロ
第2楽章 アダージョ
第3楽章 ロンドー,アレグロ
ピアノ 稲田 潤子
モーツァルト
アレグレットの主題による
12の変奏曲 変ロ長調 K.500
モーツァルト
ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K.333
第1楽章 アレグロ
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ
第3楽章 アレグレット・グラツィオーソ
ラフマニノフ
13の前奏曲集 作品32より
第5番 モデラート ト長調
第12番 アレグロ 嬰ト短調
ラフマニノフ
10の前奏曲集 作品23より
第2番 マエストーソ 変ロ長調

曲 目 解説
井上 太郎
●モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番
ト長調 K.216
ザルツブルク宮廷楽団のコンサートマスターであった十代のモーツァルトのヴァイオリンの演奏の腕前は名著として知られる「ヴァイオリン教程」の著者である父レーオポルトが保証するほどのものでした。
現在モーツァルトの作品であることが確定している5曲のヴァイオリン協奏曲の内、第1番は1773年の作品ですが、第2、3、4、5番は1775年に書かれました。19歳の時のことです。しかし作品の出来を比較しますと後の3曲が格段に優れており、演奏される機会も多いのです。今日はオーケストラの代わりにピアノが使われますが、当会での演奏は今回が初めてです。
第1楽章は付点音符と16分音符を巧みに生かしたリズムに特色のある、若さにあふれたアレグロです。
第2楽章はニ長調で、ゆったりしたメロディが16分音符の3連音のさざなみの上を流れて行きます。
第3楽章は再びト長調に戻ってロンドーと、なります。ロンドーというのは、同じ主題を繰り返す間にさまざまなエピソードが現れる形式で書かれております。工夫をこらした明暗さまざまな音楽をお楽しみ下さい。
●モーツァルト:アレグレットの主題による12の変奏曲 変ロ長調 K.500
モーツァルトは変奏曲を書くときに主題の由来をタイトルにつけるのが普通ですが、1786年に書かれたこの変奏曲の主題の由来は自身の作品目録にも記載がありません。全体に簡素な構造で書かれていますが、勘所を押さえる筆の冴えはさすがと感服する出来です。
●モーツァルト:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K.333
この曲は以前にはパリで書かれたとされていましたが、自筆楽譜の筆跡と用紙の透かし模様の研究から、1783年にリンツで作曲されたというのが定説となりました。《リンツ》交響曲と同じ時期とは、この傑作に相応しい位置づけがされたと言ってよいでしょう。
第1楽章は流麗きわまりない第1主題で始まり、ヘ長調の第2主題は対照的なものです。展開部でのヘ短調で始まる緊張した部分は特に聴かせどころです。
第2楽章はおだやかで美しい旋律で始まりますが、中間部は調性が曖昧になり、不安な影がよぎります。
第3楽章はロンド形式の曲で、屈託のない主題が繰り返される間に、次から次へと豊かな楽想のエピソードが現れ、最後にカデンツァ風のところもあります。
●ラフマニノフ:13の前奏曲集 作品32より
第5番 モデラート ト長調
第12番 アレグロ 嬰卜短調
セルゲイ・ラフマニノフ(1873−1943)はチャイコフスキーの流れにつらなるロシアの作曲家で、ピアノの名手としても知られておりました。ピアノ協奏曲第2番は特に有名で、よく演奏されます。
今日のプログラムで取り上げる曲はいずれも小品で第5番の美しい分散和音に乗って現れる主題は、可憐な少女の微笑みのようです。
第12番は冒頭左手に現れる8分の12拍子の旋律が、ロシアの厳しい冬の景色を思わせます。
なおこの前奏曲集は1910年に作曲されました。
●ラフマニノフ:10の前奏曲集 作品23より
第2番 マエストーソ 変ロ長調
ラフマニノフは作品23の10曲と作品32の13曲を、以前に出版した作品3の2と共に、ショパンの24の前奏曲集を意識しながら書いたようです。
1902年から翌年にかけて書いた10の前奏曲集の中でも華やかで技巧的な曲はこの第2番です。堂々とした6連音符に乗って現れる主題は、さながらショパンの情熱的な曲のようです。中間部はさらに華麗さを加え、最後はリストの曲を思わせるようなオクターヴの下降で一気に終わります。
※出演者のプロフィール
稲田潤子(ピアノ)
東京音楽大学付属高校ピアノ演奏家コースを首席で卒業。同大学ピアノ演奏家コース入学後すぐに渡仏し、パリ国立高等音楽院に入学。同音楽院ピアノ科、室内楽科を共に1等賞で卒業。翌年パリエコール・ノルマル音楽院に入学。現在在学中。
現在パリを中心に日本、フランス、ドイツ、イギリスの各地にて定期的に演奏活動を行なっている。
オーケストラとの共演は、ローゼン・タランツ・オーケストラ、新日本交響楽団など。
小学生の頃から多くのコンクールの上位に入選。日本音楽コンクールのピアノ部門では最年少で入選。フランス・ランプイエ音楽アカデミー室内楽コンクールにて優勝。ブルガリア・アルベール・ルーセル国際ピアノ音楽コンクールにて第2位、同時に室内楽賞を受賞。フランスFNAPEC室内楽コンクールにて特別賞を受賞。ロシア(モスクワ)ラフマニノフ国捺音楽コンクールのピアノ部門にて第3位(2位なし)受賞。
河内 多結(ヴァイオリン)
6歳よりヴァイオリンを始め、現在ザハール・プロン、海野義雄の各氏に師事。1997年1月早稲田大学交響楽団と外山雄三のヴァイオリン協奏曲を共演。1998年1月紀尾井ホールにてモーツァルトの《セレナータ・ノットゥルノ》の第1ヴァイオリンとしてデビューリサイタルを行なう。1998年2〜3月には同交響楽団の世界演奏旅行の随行ソリストとしてアメリカ、ドイツなどの公演に出演。
石野 真穂(ピアノ)
桐朋学園大学音楽学部卒業。同大学アンサンプル・ディプロマ終了。1997年第8回埼玉ピアノコンクール入賞。室内楽、オペラなどの伴奏で活躍中。

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