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第84回例会の内容紹介


 
ピアノ独奏とヴァイオリン、チェロ、ピアノの三重奏

  平成16年6月13日 14:00 藤沢リラホール 
  
出演

     ピアノ: 長谷川さち子
 ヴァイオリン: 花崎 淳生
     チェロ: 花崎 薫

プログラム

♪ピアノ独奏

1)モーツァルト:アタージョ
               ロ短調 K.540
2)モーツァルト:ピアノ・ソナタ
              変ロ長調 K.570
      第l楽章 アレグロ
      第2楽章 アダージョ
      第3楽章 アレグレット
3)リスト:モーツァルトの歌劇
       《ドン・ジョヴァンニ》 の回想

♪ヴァイオリン/チェロ/ピアノの三重奏

1
)ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調
      第1楽章 モテレ
      第2楽章 アッセ・ヴィフ
      第3楽章 トレ・ラルジュ
      第4楽章 アニメ

2)モーツァルト:ピアノ三重奏曲
               ト長調 K.564
      第1楽章 アレグロ
      第2楽章 アンダンテ
      第3楽章 アレグレット


当日のプログラムより

                                井上 太郎

曲 目 解 説

♪モーツァルト:アダージョ ロ短調 K.540

1788年3月19日に完成されたこの曲は謎めいている。ロ短調の曲はこれしか書かれておらず、どういう目的で書いたのかもわからない。しかしこの曲の持つ不思議な情感はモーツァルトの他の曲には求められないものだ。
 ヒルデスハイマーは「この作品は、ひとつの感情的な実質を内包し、ひとつの内的な出来事の音楽的転位を示していると、わたしには思える。その出来事は音楽外的な現実で生じだのではない。それだけでもう、それを言葉で語ることはできないのである」としている。

♪モーツァルト:ピアノ・ソナタ 変□長調 K.570

1789年2月に完成されたこのソナタと、1788年3月に完成されたK.540のアダージョと比較すると、モーツァルトの作風の変化がわかる。1788年はいわゆる「三大交響曲」が書かれ、歌劇《ドン・ジョヴァンニ》がウィーンで初演された年だが、この頃「彼の音楽は一部の音楽通にこしか理解できない難解なもの」とされていた。それで彼はわかりやすさを念頭に、このソナタを書いたと思われる。しかし主題の単純さにも拘らず、その処理にはやはりモーツアルトならではの巧妙さがうかがえる。

♪リスト:モーツァルトの歌劇
           《ドン・ジョヴァンニ》の回想

 フランツ・リスト(1811−86)は急速に進歩したピアノの性能をフルに生かすために、おびただしい数の編曲を残している。その中にはベートーヴェンの全交響曲のピアノ版やオペラの「さわり」を編曲したものがある。
この曲もそのーつで、1841年に書かれ、コペンハーゲンへの演奏旅行の際、デンマークの皇帝に献呈された。
 無気味な開始は、第2幕第11場の月夜の墓地でし騎士長の石像がドン・ジョヴァンニに告知するところで、続いて晩餐に招かれた騎士長が現れる場面となる。
 次はがらりと変わり、第1幕第9場のドン・ジョヴァンニとツェルリーナの甘美な二重唱である。しかし再び騎士長の呪いの場面の音楽に変わるが、それらに有名な「シャンパンのアリア」などが配されるという具合で、オペラの筋とは無関係なごった煮のような曲である


♪ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調

 モーリス・ラヴェル(1875-1937)はドビュッシーやフォーレと時代を同じくするフランスの巨匠だが、彼を有名な《ボレロ》(1927)だけで理解するのは間違っている。今日演秦されるピアノ 三重奏曲(1914)のしみじみとした美しさと洒脱さをぜひ味わって頂きたい。
 これが書がれたのは第一次大戦の始まった頃で、一兵士として招集される令状が来るまでの間に、音楽的な遺言となることを考えて全力を傾けて青いたと言われる。
 第1楽章の主題はバスクの民謡を思わせる美しいもの。
 第2楽章は「パントゥーム」と題されている生き生きとしたスケルツォである。
 第3楽章は「バッサカイユ」と題されて重々しい。第4楽章は軽やかな終曲である。

♪モーツァルト:ピアノ三重奏曲 ト長調 K.564

1788年10月完成されたこの曲にアインシュタインは同種の3曲の中で最も低い評価をしている。第1楽章は簡潔なソナタ形式。第2楽章は変奏曲で、主題は12歳の時に作った歌劇《バスティアンとパスティエンヌ》からとられたもの。第3楽章のロンドが最も聴きどころだろう


出演者のプロフィール

長谷川さち子(ピアノ)
静岡県出身。83年、日本ショパン協会主催デビュー・リサイタル。89年、カーネギー・リサイタルホールで米国デビュー。82年、西ドイツ・メンデルスゾーン・コンクールで日本人初優勝。89年、ニューヨーク・ショパン国際コンクール優勝など。第5回同コンクール審査員。ベルリン交響楽団を始め主要楽団と共演。

花崎淳生(ヴァイオリン)
東京芸術大学及び同大学院終了。在学中、芸大バッハカンタータクラプに所属。小林道夫氏の指導を受ける。
86年−87年、カールスルーエに留学。97年度「村松賞を古典四重奏団として受賞。「エルデーディ弦楽四重奏団」「古典四重奏団」のメンバー。


花崎  薫(チェロ)
79年、東京芸術大学在学中、DAADドイツ政府留学生として西ベルリン芸術大学に留学。別年、同大学卒業後、東京芸大に復学、83年芸大卒業。81年、第50回日本音楽コンクール・チェロ部門第3位入賃。現在、新日本フィルハーモニー交響楽団の主席チェリスト。