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第89回例会の内容紹介


    ソプラノとピアノ独奏で味わう
    モーツァルトと中田喜直の作品

平成17年5月22(日)午後2時より   藤沢リラホール
 
出演
       ソプラノ:水口 惠子
        ピアノ:安田 正昭



プログラム

第一部

 1「愛の神よ、照覧あれ」
       (《フィガロの結婚》より 伯爵夫人)
 2「恋とはどんなものかしら」
      (《フィガロの結婚》より ケルビーノ)
 3「スザンナは来ないのかしら」〜
      「楽しい思い出はどこへ」
       (《フィガロの結婚》より 伯爵夫人)
 4 アダージョ ロ短調   K.540  ピアノ独奏
 5 モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」K.165

第二部

 1 ゆく春           中田 喜直 作曲
 2 さくら横丁         中田 喜直 作曲
 3 海ほうずきと少年      中田 喜直 作曲
 4 悲しくなった時は      中田 喜直 作曲
 5 ピアニシモの秋       中田 喜直 作曲
 6「ドン・ジョヴァンニの回想」
  フランツ・リスト 作曲  ピアノ独奏
 7「なんとふしだらな」〜
「あの恩知らずは約束を破って」
(《ドン・ジョヴァンニ》より ドンナ・エルヴィラ)
 8「むごいですって?」〜
「どうぞ、そんなことおっしゃらないで」
  (《ドン・ジョヴァンニ》より ドンナ・アンナ


当日のプログラムより

                               

曲 目 解 説

 最初の3曲はモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」の中でもとりわけ有名なアリアである。最初のは第2幕の冒頭で歌われるもので、夫の浮気を嘆く伯爵夫人のアリア。

 次は小姓のケルビーノのカンツォーナ。彼は思春期の少年で、このオペラで予想外の展開を引き起こす。

 3曲目のアリアは伯爵夫人が侍女のスザンナと服装を交換して、伯爵を偽の艶書で騙す計画をしなければならない今、かつての幸福な日々は無くなってしまったのかと嘆くアリア。

 変わってピアノ独奏による「アダージョ ロ短調」は、1788年3月に作曲された作品。ロ短調で書かれた作品はモーツァルトにはこれしかなく、全体に厳粛な趣きの傑作。この曲が書かれた頃にいわゆる三大交響曲(39番、40番、41番)の構想が固まりつつあった時期の作品である。 

 第1部の最後はモテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」である。モテットというのはミサ曲のように、教会の儀式のための音楽ではなく、神を讃えて自由に歌われる曲である。この曲は3度目のイタリア旅行(これが最後)に、1773年ミラノで作曲された。全部で3楽章よりなり、原曲はオルガンの入ったオーケストラの伴奏である。この曲は第1、2楽章でモテットらしい趣きを示すが、第3楽章は「アレルヤ」という歌詞だけによるソプラノのコンチェルトと言ってよい。

第2部はガラリと趣きを変えて日本の歌曲。
作曲者の中田喜直(1923-2002)は、美しい、ポピュラリティに富んだ歌曲を多数書いており「夏の思い出」や「雪の降るまちを」などは、どなたもご存知であろう。
また童謡に力を入れ、作品は1000曲に上る。サトウハチローとのコンビで作られた「かわいいかくれんぼ」「ちいさい秋みつけた」などは代表作といえる。
 今日歌われる歌曲は作曲者の叙情的な旋律と美しいピアノ伴奏が一体となった、誰にでも親しめるリートといえよう。

 フランツ・リスト(1811−86)はピアノを楽器の王座に置こうと考えた人である。彼はオリジナルの曲を作るばかりでなく、有名なオペラをピアノ曲に編曲している。この「ドン・ジョヴァンニの回想」もそのひとつで1841年に作曲された。三部よりなり、第1部は第2幕の騎士長の石像の呪いから始まる。第2部はドン・ジョヴァンニとツェルリーナの二重唱による変奏曲。第3部にはシャンパンの歌なども出てくるが、最後は騎士長の呪いで終わる。

 再び歌劇のアリア。今度は「ドン・ジョヴァンニ」からである。まずドン・ジョヴァンニに捨てられたドンナ・エルヴィーラのアリア。自分を捨てた男に神の裁きが必ず来ると歌う叙唱に続き、今の自分の不幸をなげく詠唱が歌われる。

 次は騎士長の娘のドンナ・アンナを許婚者のドン・オッタヴィオが慰めに来る場面で彼は明日にでも結婚しようという。しかし彼女は父が殺された今、とてもそんな気になれないと歌う。


出演者のプロフィール
水口 惠子 みずぐち けいこ(ソプラノ)

 国立音楽大学声楽科卒業、二期会オペラスタジオ第31期を優秀賞を受賞して終了。第24回日伊コンソルソ入選、第7回ニッカ「十五夜物語・新人賞」受賞。竹村令、林ひろみの各氏に師事。ミラノでダンテ・マッツオーラ、カルラ・カステッランニ女史に師事。
 オペラでは、「蝶々夫人」の蝶々夫人('89)をはじめ、「ドン・ジョヴァンニ」のエルヴィーラ('92)、「ロメオとジュリエット」のジュリエット('93)「カルメン」のカルメン('94)、「フイガロの結婚」の伯爵夫人('97)、「恋はご法度」のイサベッラ('98)「2人のフォスカリ」のルクレツィア('01)、「椿姫」のヴィオレッタ('02)を歌い、本年3月には「トロヴァトーレ」のレオノーラを演じた。99年に「Vol.1」、02年に「Vol.2」、04年「Vol.3」とリサイタルを行っている。現在、東京オペラ・プロデュースメンバー、日伊音楽協会会員、ぐるっぽひろみーな会員、二期会会員。

安田 正昭 やすだ まさあき(ピアノ)

 東京芸術大学付属音楽高校を経て東京芸術大学に入学。高校在学中に第30回マリア・カナルス国際コンクールジュニア部門で優勝。大学2年の時よりパリに留学。パリ・エコールノルマル、ディプロマ取得後、パリ国立高等音楽院のピアノ科、伴奏科、室内楽科をそれぞれプルミエプリを得て卒業。89年スタインウェイ・ピアノ・コンクール優勝をはじめ多くの国際ピアノ・コンクールで優勝・入賞。青木章子、中山靖子、安川加寿子、P・レアック、Y・ロリオ・メシアン、M・ベロフ、B・リグットらに師事。現在、東京芸術大学付属高校非常勤講師。