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第95回例会の内容紹介


大塚能夫也と仲間たちによるモーツァルトと
  同時代の作曲家の室内楽

平成18年4月23日(日)午後2時より   藤沢リラホール 

出演
  フルート:大塚 能夫也 
  オーボエ:加藤 仁礼 
  チェンバロ&ピアノ辰巳 美納子 
  ヴァイオリン:鈴木 まどか  
  ヴィオラ:安藤 裕子  
  チェロ:高橋 弘治


プログラム
♪ J・ミスリヴェチェック  トリオソナタ  ニ長調
♪ W・A・モーツァルト フルート四重奏曲 K.285
♪ J・C・バッハ   五重奏曲   二長調 Op22-1
♪ W・A・モーツァルト  アダージョとロンド ハ短調 K.617
♪ F・X・ジュスマイヤー 五重奏曲 二長調 



当日のプログラムより

                                井上 太郎

曲 目 解 説

♪J.ミスリヴェチェック トリオ・ソナタ ニ長調

 ミスリヴェチェック(1737-81)はチェコの作曲家で、モーツァルト父子とは1770年にボローニアで知り合って以来親しかった。彼のオペラがナポリなどイタリア各地で好評だったばかりでなく、ミュンヘンで初演されたオラトリオ《アブラハムとイサク》は評判になりモーツァルトの作品とされていたこともあった。カンツォネッタ《静けさはほほえみ》(K.152)はミスリヴェチェックの《いとしのわが君よ》の改作だと言われるが、確証はない。モーツァルトはミュンヘンで彼のソナタを演奏しており、父宛の手紙の中に「この曲は万人を楽しませる作品で覚えやすく、正しく演奏すれば期待通りの効果が得られるでしょう」と書いている。

♪モーツァルト フルート四重奏曲 ニ長調 K.285

 1777年にマンハイムで知り合ったド・ジャンというアマチュア音楽家のために書かれたこの曲は、フルートの室内楽の中で最高の評価を得ている。フルートの活気あふれる旋律と弦楽器の見事な調和を見せるニ長調の第1楽章に対し、ロ短調の第2楽章は、フルートの哀愁を帯びた旋律を弦楽器が終始ピチカートで伴奏するセレナードの趣きを持っている。続く第3楽章は再びニ長調に戻り、小鳥の囀りのように爽やかな音楽となる。

♪クリスティアン・バッハ 五重奏曲 ニ長調 Op22-1

 大バッハ(1685-1750)の末の息子であるヨハン・クリスティアン・バッハ(1735-82)は、大勢のバッハ一族の中で唯一イタリアの地を踏み、オペラで名声を得た存在である。1762年には英国王立劇場からオペラの作曲を依頼されロンドンにやってくる。 この「ロンドンのバッハ」が8歳のモーツァルトと出会ったのは1764年4月のことで、ふたりは意気統合し、バッハの膝に坐った少年は、バッハと交互にクラヴィーアを弾いたという。モーツァルトがイタリアへ行く前にイタリア音楽のスタイルを知ったのは、この時だったのだ。
 バッハの室内楽作品で最も高く評価されているのは、作品22の6曲の五重奏曲で、今日演奏されるのは1曲目のニ長調である。
 なお彼の作品の主題をモーツァルトが真似たり、逆にバッハが真似たのかと思われるものが少なくなく、互いに影響し合ったと思われる。

♪モーツァルト アダージョとロンド ハ短調 K.617

 
原曲はグラスハーモニカという特殊な楽器による。これはブランデーグラスを濡れた指でこすると鳴る音を原理とするもので、今日はピアノが使われる。高音域の神秘的な音で始まるハ短調のアダージョの第1楽章と、喜ばしい趣きのハ長調のアレグレットのロンドの第2楽章とが対照的で、ほかの曲にはない面白さがある。

♪ジュスマイヤー 五重奏曲 ニ長調
             
 フランツ・クサヴァー・ジュスマイヤー(1766-1803)はモーツァルトの最後の弟子である。モーツァルトと知り合ったのは1790年頃と思われる。彼がモーツァルトの共作者としてオペラ《皇帝ティトスの仁慈》(K.621)の一部を書いたと言われるが、モーツァルトのレクィエム(K.621)の未完の部分を補作し完成したことで知られている。 彼はモーツァルトの死後、オペラ作曲家としてウィーンとプラハでかなりの名声を得ている。
 今日演奏される曲は、ウィーン楽友協会の古文書館から発見されたパート譜による。全3楽章で第1楽章はアレグロ・コン・ブリオ、第2楽章はアダージョ、第3楽章はロンド・アレグレットで、3つの楽章全部がニ長調で書かれており、ユーモラスな趣きが強い。


◎演奏者のプロフィール

大塚 能夫也(フルート)
 桐朋学園大学を経て、マンハイム音楽大学大学院終了。プラハ芸術大アカデミーで研鑽を積み、在学中から南西ドイツ放送オーケストラ、フランツ・リスト室内合奏団等と多くの公演を行った。2000年以来、国内でもオーケストラ、室内楽等の活動を積極的に行い、東京オペラシティや東京文化会館でのリサイタル(ボヘミアン・ロマンティック)シリーズは、高く評価されている。

鈴木 まどか(ヴァイオリン)
 桐朋学園音楽大学音楽学部卒業、93年読売新人賞受賞。97年日本室内楽コンクール第2位、98年ミュンヘン国際音楽コンクールセミファイナリスト。

安藤 裕子(ヴィオラ)
 東京芸術大学修士課程終了。第3回日本室内楽コンクール第1位、第52回ジュネーヴ国際コンクールセミファイナリスト。94年安宅賞音楽祭最優秀受賞。

高橋 弘治(チェロ)
 桐朋学園大学音楽学部及びブリュッセル王立音楽院古楽器科卒業。2001年の協演以来ラ・プティット・バンドのメンバーとして各地で演奏。現在欧州で活躍中。

加藤仁礼(オーボエ)
 東京音楽大学卒業、桐朋学園大学音楽学部オーケストラ研究生終了。現在東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団に所属。

辰巳 美納子
(チェンバロ、ピアノ)
 東京芸術大学チェンバロ科卒業、同大学院終了。オランダ政府の奨学金によりアムステルダム音楽院に学び、国家演奏家資格を獲得。