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第97回例会の内容紹介


勝部 太と仲間たちによるモーツァルトのオペラ・アリアなど

平成18年10月8日(日)午後2時より   藤沢リラホール 

出演
 勝部 太(バリトン)  
 相原 れいな(ソプラノ)
 高田 慮来(テノール)  
 里見 佳恵(ピアノ)

プログラム
♪ 喜劇的2重唱「いざ、いとしき乙女よ」   K.625(592a) (Sp,Br)
♪ リボンの3重唱 K.441(Sp,Tr,Br)
♪ 3重唱「いとしい私の食いしんぼさん」  K.571a(Sp,Tr,Br)
♪ 「ああ、私は幸せだった」  《後宮からの逃走》第1幕 コンスタンツェ
♪ 「勇をこして戦おう」  《後宮からの逃走》第2幕 ペドリッロ
♪ 「ため息をついている間に」  《フィガロの結婚》第3幕 伯爵
♪ 「若いうちに」  《フィガロの結婚》第4幕 ドン・バジリオ
♪ 「目を開け、世の男たちよ!」  《フィガロの結婚》第4幕 フィガロ
♪ 「貴方が彼のために泣いても」   《皇帝ティトの仁慈》第2幕 セルヴィリア

♪ 團 伊玖磨 オペラ《ちゃんちき》第2幕第2場より
 狐のおとっさま:勝部 太  
 子狐ぼう:相原 れいな
 美人:久留宮 まみ(助演) 
 ピアノ:里見 佳恵  



当日のプログラムより

                             

曲 目 解 説
井上 太郎
吉野 忠彦
♪喜劇的二重唱「いざ、いとしき乙女よ」K.625(592a)
 《魔笛》のパパゲーノとパパゲーナのパロディのようなこの曲は、モーツァルトの真作かどうか疑問視され、「新全集」には入っていない。これは《魔笛》の作詞者であるシカネーダーが作った音楽劇《賢者の石》で唱われたソプラノとバリトンの二重唱である。

♪ 3重唱「いとしのマンデル、リボンはどこ?」K.441
 
テノールのモーツァルトと夫人のソプラノ、そこに親友のジャカンのバスが加わつた日常のひとこま。歌詞もモーツァルトで、ウィーン訛りで唱わなければならない。彼のブッフォの巧みな手法がうかがえる漫画的ケッサク。

♪ 3重唱「いとしい私の食いしんぼさん」K.571a
 
これも先の「リボンの3重唱」と似たモーツァルト夫妻に友人が加わった愉快な重唱。歌詞はドイツ語とイタリア語がまざっている。楽譜は断片でしか残っていない。

*オペラ《後宮からの逃走》(K.384)からアリア2曲。
 
スペインの貴族ベルモンテの愛人コンスタンツェは侍女ブロンテ、従者ペドリッロと共に海賊にさらわれてトルコの太守セリムの後宮に幽閉されている。それを奪回しようとするが、番人のオスミンに掴まる。太守は一度死刑を宣告するが、寛大な処置で帰国を許す。

♪ コンスタンツェ「ああ、私は幸せだった」ソプラノ
 
このアリアは不運なコンスタンツェをなぐさめる寛大な太守の愛に応じられないと唱うコロラチュアの絶唱。

♪ ペドリッロ「勇をこして戦おう」
 
ベルモンテが救出に来ていると知ってペドリッロは勇気を振るい起こして決心を唱うが、どこかたよりない。しかしこれには、テノールでは最高のロ音が出てくる。

*オペラ《フィガロの結婚》(K.492)からアリア3曲。
 
初夜権をめぐる伯爵とフィガロの駆け引きを描いた有名な傑作の中から、伯爵(テノール)、音楽教師バジリオ(テノール)、フィガロ(バリトン)のアリア。

♪伯爵「ため息をついている間に」バリトン
 
フィガロと結婚するスザンナに気のある伯爵の本心を唱いこんだこのアリアは、第3幕の核心となっている。

♪ バジリオ「若いうちに」テノール
 
伯爵とスザンナ(実は伯爵夫人が扮装)を密会させる策略を知り、何事も愚かに見せて実を取れと唱う。

♪ フィガロ「目を開け、世の男たちよ」バリトン
 
スザンナの策略に気づかないフィガロは結婚式の晩に伯爵と密会していると思い、世の男たちよ女には気をつけよと唱う。これは第3幕の伯爵のアリアと対になる。

*オペラ《皇帝ティトの慈悲》K.621からアリア1曲
♪ セルヴィリア「貴方が彼のために泣いても」ソプラノ
 
皇帝殺害を企てたセストの妹が絶望して唱うアリア。

♪ 團 伊玖磨:《ちゃんちき》第2幕第2場より
 
横須賀市秋谷に在住していた團伊玖磨(1924-2001)の第5作目のオペラで、2幕4場からなる。第1作のオペラ《夕鶴》が"鶴の恩返し"という昔話を下敷きにしているが、この《ちゃんちき》も"狐物語"の中の"尻尾の釣り"、"狐と川獺"といった昔話によっている(水木洋子脚本)。
1975年に東京で初演され(森正指揮、二期会、東フィル)、その後名古屋、東京で再演された後、1989年には、日本のオペラとしては初めて、ヨーロッパ4都市、ベオグラード、ブダペスト、ルクセンブルク、ドレスデンを作曲者指揮、勝部太主演で巡演している。 本日演じられるのは、凶暴な人間に襲われて弱りきった狐のおとっさまが、独り立ちする息子のぼうを見届けて力尽きる感動的なフィナーレのシーン。



◎演奏者のプロフィール

勝部 太 (かつべ ふとる、バリトン)
 東京芸術大学大学院声楽科終了。1979年文化庁派遣によりミュンヘンに留学。第45回日本音楽コンクール第1位。76年、「カルメン」のエスカミーリョでデビュー後多くのオペラに出演。97年三枝成彰「忠臣蔵」、新国立劇場開場記念公演「建・TAKERU」など多くの主役をこなし、高い評価を受けている。二期会会員。東邦音楽大学総合芸術研究所特任教授、東京芸術大学講師。

相原 れいな(あいはら れいな、ソプラノ) 
 東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。これまでに「天国と地獄」(キューピッド)、「フィガロの結婚」(スザンナ)、「魔笛」(パミーナ)他数々の演奏会に出演している。高橋大海、三縄みどり、勝部太、日比啓子、島崎智子氏らに師事。

高田 慮来 (たかた のぶき、テノール)
東京芸術大学音楽部声楽科卒業。東邦音楽大学総合芸術研究所終了。これまでに「カルメン」(レメンダード)、「ナクソス島のアリアドネ」(スカラムーチョ)やベートーヴェン「第九」、モーツァルト「レクイエム」などのソリストを務めた。山口悠紀子、山口俊彦、日比啓子、松本美和子、勝部太らに師事。

里見 佳恵 (さとみ よしえ、ピアノ)
 東海大学教養学部芸術学科音楽学過程卒業。東邦音楽大学総合芸術研究所にてピアノ伴奏法を学ぶ。ピアノを余村聡次郎、神西敦子氏に、伴奏法を白石隆生、星野明子氏に師事。