| 第100回例会の内容紹介 |
平成19年5月20日(日)午後2時より 藤沢リラホール |
| 曲 目 解 説 |
♪F・A・ホフマイスター:四重奏曲 第1番 フランツ・アントン・ホフマイスター(1754-1812)は、始めウィーンで法学を勉強していたが、好きな音楽の道に入り、66曲の交響曲をはじめ数多くの作品を書き、1784年には出版社を創立した。それを通じ、モーツァルトやベートーヴェンらと親交があり、モーツァルトの現存している最も古い借金の手紙は彼宛(1785年)のものである。 彼はフルートのために100曲以上の四重・五重奏曲を残したことでも有名だが、クラリネットのための四重奏曲は6曲残っている。作曲者とA・シュタードラーとの関係は明らかになっていないが、この4楽章からなる明るい軽快な曲を名手は好んで演奏したであろう。 ♪モーツァルト:アレグロ 変ロ長調 K.Anh91(516c) クラリネット、2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによるこの曲は、93小節まで完成されており、未完に終わっているのが惜しまれるが、ニッセンが指摘するように、完成された曲の後半が紛失してしまったとも考えられる。その一方で弦楽五重奏曲ト短調が最初にこの編成で書かれたのだとの指摘から、K.516cという番号がつけられている。もしそうなら作曲の時期は1787年春ということになる。しかし最近では1790年か91年頃という説も出てきている。いずれにしろ傑作には違いない。ただクラリネットのパートにへ音記号で書かれたところがあり、バセットホルンのために書かれたとも考えられる。 ♪モーツァルト:五重奏曲 へ長調 K.Anh90(580b) この曲の自筆楽譜にはハッキリとC管のクラリネットとF管のバセットホルンの指定がある。弦楽器はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各1である。C管のクラリネットは最近は滅多に使われないし、バセットホルンも珍しいので、この組み合わせは聴きものだろう。 アインシュタインがこの未完の作品を、今日の後半に演奏される有名なクラリネット五重奏曲と同じ頃の作品としていることは、納得できる。 ♪モーツァルト:五重奏曲 イ長調 K.581 この曲はモーツァルトと親しかったクラリネット奏者のアントン・シュタードラーのために作曲されたので、作曲者自身≪シュタードラーの五重奏曲≫と呼んでいる。 初演は1789年12月22日にブルク劇場で開かれたウィーン音楽芸術家協会の年金基金のための演奏会でおこなわれた。自筆譜は残っていないが、シュタードラーが吹いたクラリネットはA管のそれより長3度低い音域まで演奏可能なバセットクラリネットではないかといわれている。従って今日の演奏はこれに基づくものである。 この曲をモーツァルトのすべての室内楽曲の中での最高の位置に置きたいたいという私の考えは許していただけると思う。特に、第1楽章の第1主題のあと、チェロのピチカートに乗って現れるホ長調の第2主題と、それを受けてホ短調で応えるクラリネットの調べを、私は心の震えを覚えずに聴くことは出来ない。 第2楽章は心のやすらぎを感じさせるラルゲットの絶唱である。 第3楽章のメヌエットには珍しくトリオが2つある。イ短調の第1トリオでは4つの弦に哀愁の影がまつわり、第2トリオではクラリネットが陽光の中で踊っている。 第4楽章は簡素な主題による変奏曲。伸びやかな第2変奏に続くイ短調の第3変奏ではヴィオラがむせび泣き、他の楽器がそれをやさしく包み込む。4つの変奏曲のあとには、おだやかなアダージョと、アレグロのコーダがついている。 |
| ◎演奏者のプロフィール 柴 欽也(クラリネット) 国立音楽大学を経て、ルーアン国立音楽院、パリ・エコール・ノルマル音楽院、パリ国立高等音楽院をそれぞれ首席で卒業。いくつかの国際コンクールで入賞を果たし、パリ国立高等音楽院管弦楽団、モーリス・ブルグ・アンサンブルで活躍した。帰国後、ソロ、室内楽等の活動を積極的に行い、1999年以降読響に在籍。 小森谷 巧(ヴァイオリン) 桐朋学園音楽大学付属高校音楽科、デイプロマを経て、ウィーン国立音楽大学に留学。91年第1回出光音楽賞受賞。99年より読響のコンサートマスターを務める。 赤池 瑞枝(ヴァイオリン) 東京芸術大学音楽学部卒業。同大学大学院修士課程終了。東京室内楽コンクール、日本室内楽コンクール入賞。読響楽団員。 二宮 隆行(ヴィオラ) 1993年、武蔵野音楽大学卒業。坂口直美、浅妻文樹、磯良男、ウルリッヒ・コッホ氏等に師事。読響でヴィオラ主席代行を務める。 木村 隆哉(チェロ) 桐朋学園音楽大学音楽学部卒業、同大学研究科へ進む。在学中、第2回宝塚ベガコンクール室内楽部門第1位、併せて特別賞受賞。読響楽団員。 鎌田 広(バセットホルン) 東京芸術大学器楽科卒業、同大学院研究科終了。在学中、安宅賞受賞。第1回クラリネット協会コンクールや第9回管打楽器コンクールなどに入賞。読響楽団員。 |
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