第101回例会の内容紹介


安田 正昭 ピアノリサイタル

平成19年7月15日(日)午後2時より   藤沢リラホール 


プログラム

出演
ピアノ独奏:安田 正昭

曲目
モーツァルト:♪ピアノ・ソナタ 変ロ長調  K.570
モーツァルト:♪パイジェッロの主題による6つの変奏曲 ヘ長調 K.398
モーツァルト:♪幻想曲 ニ短調 K.397
メシアン:♪「みどり児イエスに注ぐ20のまなざし」より 第10曲「喜びの聖霊のまなざし」
モーツァルト:♪ピアノ・ソナタ ハ長調  K.330
モーツァルト:♪自動オルガンのためのアンダンテ ヘ長調  K.616
メシアン:♪「鳥のカタログ」より第2番「ロリオ」
モーツァルト:♪ロンド ニ長調  K.485


当日のプログラムより

                                井上 太郎 

曲 目 解 説

♪モーツアルト:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K.570
1789年2月にウィーンで作曲されたこのソナタは簡素なスタイルで書かれているが、澄み切った美しさをもっている。それは対位法の使い方に無駄がないからである。アインシュタインは「おそらく最も均衡の取れたタイプ、彼のピアノ・ソナタの理想」とまで言っていることは、第1楽章を聴けばわかるであろう。第2楽章のアダージョは変ホ長調だが、
中間にハ短調の暗い影がよぎる。第3楽章のアレグレットは行進曲風で、ユーモラスな趣きがある。

♪モーツァルト:パイジェッロの主題による6つの変奏曲 ヘ長調 K.398
 パイジェッロ(1740−1816)のオペラ「哲学者気取り、または星占い師たち」の中で歌われるアリアを主題としている。この変奏曲をモーッァルトは1783年3月23日に開かれた
自分の音楽会で即興で披露したという。それと後に出版されたものとが同一かどうかはわからないが、即興演奏風のところが多いので、そのときの即興演奏を記録にとどめておきたくて出版したのであろう。これを演奏したときには皇帝ヨーゼフU世が臨席していたという。

♪モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397

 魅力的な小品として知られるこの曲は、モーツァルトの没後1804年に出版されたのだが、97小節までで中断し、あとの10小節は空白の五線だけが引かれている形であった。つまり未完の作品として出版されたのである。自筆譜やそれに基づく筆写譜もないので、現在一般に使われている楽譜は誰かが補筆したものである。しかし誰がしたものかわからない。前半のニ短調と後半のニ長調の対比が聴き所だ。

♪メシアン:「みどり児イエスに注ぐ20のまなざし」より
       第10曲「喜びの聖霊のまなざし」
 オリヴィエ・メシアン(1908−1992)はフランスの現代作曲家で、20世紀の最も重要な存在とされている。彼は自らを「作曲家兼リズム家」といっているように、古代ギリシャの韻律や中世のリズムなどを研究し、作品に取り入れている。彼の名が知れ渡った最初の曲は1946年から48年に作曲された「トゥランガリラ交響曲」であったが、第2次世界大戦で捕虜になった時に、シュレジエンの収容所で「世の終わりのための四重奏曲」や今日演奏される曲が書かれた。このピアノ曲は表題の通り20の小品よりなる組曲として書かれたもので、彼自身「虹色」と呼ぶ技法が使われている。

♪モーツァルト:ピアノ・ソナタ ハ長調 K.330
 アインシュタインが「モーツァルトの書いた最も愛らしい曲」というほど明るく屈託の無いソナタである。この曲は近年までパリで書かれたとされていたが、自筆譜の筆跡や紙質などの研究から1783年にウィーンで作曲されたと考えるのが最も確実とされるようになった。

♪モーツァルト:自動オルガンのためのアンダンテ ヘ長調 K.616
1791年に機械仕掛けで動くオルガンのために書かれた曲は断片も含めて5曲あり、いずれもフラット1つのヘ長調かニ短調で書かれている。当時の新聞にこれの演奏の広告が載っており、毎週作曲者が変わったようである。彼がこういうものに興味を持っていた証拠といえよう。彼が現代に生きていたらパソコンで作曲したかもしれない。

♪メシアン:「鳥のカタログ」より、第2番「ロリオ」
彼は鳥のさえずりに強い関心を持ち、この作品を書いた。13種類の鳥がとり上げられている。もちろんフランスで聞かれる鳥だが、イソヒヨドリやダイシャクシギのような日本にもいる鳥も上げられている。管楽器ではなくピアノで鳥のさえずりをどこまで表現できるのかが聴きどころだろう。

♪モーツァルト:ロンド ニ長調 K.485
自筆譜に1785年1月10日の日付を持つ軽やかで楽しいロンド。自筆譜は現在ニューヨークの図書館にあるが、モーツァルトが1784年からつけ始めた自作目録にはなぜか記載されていない。




◎演奏者のプロフィール

安田 正昭 やすだ まさあき(ピアノ)

1967年東京生まれ。5歳よりピアノを始める。
1983年東京芸術大学付属音楽高校に入学、在学中に第30回マリア・カナルス国際コンクール・ピアノジュニア部門で優勝。86年東京芸術大学に入学、同年リナルド・ロッシ賞を受章。88年パリに留学。
パリ・エコールノルマルにてディプロマ取得後、パリ国立高等音楽院のピアノ科、伴奏科、室内楽科をそれぞれプルミエ・プリを得て卒業。89年第1回パリ・スタインウェイ・ピアノ・コンクール優勝をはじめフランス国際コンクール・ピアノ部優勝、メシアン特別賞受賞など多くの国際ピアノ・コンクールで優勝・入賞。2003年4月、パリから東京へ拠点を移し、定期的に演奏家活動を行っている。青木章子、坂井玲子、中山靖子、安川加寿子、ピエール・レアック、イヴォンヌ・ロリオ・メシアン、ミシェル・ベロフ、ブルーノ・リグットの各氏に師事。
現在、上野学園大学非常勤講師、東京芸術大学付属高校非常勤講師、東邦大学客員講師



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