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第107回例会の内容紹介


♪3人の若手演奏家によるモーツァルトの室内楽

平成20年7月20日(日)午後2時より   鎌倉商工会議所会館ホール 

プログラム

出演:

鈴木 まどか(Vn) 
佐々木 真史(Va) 
國谷 尊之(Pf

曲目:

♪ヴァイオリンとヴィオラのための2重奏曲 ト長調  K.423
♪ヴァイオリンとヴィオラのための2重奏曲 変ロ長調 K.424
♪ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364  (ピアノ伴奏)


当日のプログラムより

曲 目 解 説
                                    井上太郎  吉野忠彦

♪ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423

1783年夏のこと、久しぶりで故郷ザルツブルクを訪れたモーツァルトは、かつての同僚だったミヒャエル・ハイドン(有名なヨーゼフ・ハイドンの弟1737-1806)と旧交をあたためたが、ミヒャエルはこの時、大司教からヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲を6曲作るように命令されていた。ところが4曲作ったところで病気になり、残りが書けない状態だったのである。
 そこでモーツァルトは彼に代わって残りの2曲を書いた。これは単なる親切心ではなく、ミヒャエルの作風を生かしながら、このような編成の曲を作曲する機会を楽しんだように思われる。
 ミヒャエルがすでに作った曲はハ長調、ニ長調、ホ長調、ヘ長調だったので、モーツァルトはト長調と変ロ長調を選んでいる。そして2曲とも、ヴァイオリンとヴィオラが対等に活躍するように対位法を駆使して書かれている。
この逸話はミヒャエルの死後に書かれた『ハイドン略伝』にあるのだが、モーツァルトは休みも取らぬスピードで書き始め、数日の内に書き上げたという。ミヒャエルはこれを貴重な記念品として生涯大切に保存した。
 ト長調の第1楽章は4分の4拍子のアレグロで、簡略なソナタ形式で書かれている。第2楽章はハ長調の4分の3拍子アダージョで、中間部で、ヴィオラがヴァイオリンよりも高い音域で演奏され、ヴァイオリンが伴奏するようなところが出てくる。終楽章はト長調、2分の2拍子のアレグロのロンドで最も長い。この主題はシュヴァーベン地方の民謡から取られたとも言われる。

♪ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 変ロ長調 K.424

 2曲目の第1楽章は4分の4拍子のアダージョの前奏で始まる。これは弦楽四重奏曲変ホ長調(K.428)の冒頭を思わせるが、交響曲の開始のパロディとも言えよう。アレグロの主部は4分の3拍子で、前曲同様、簡略なソナタ形式で書かれている。第2楽章は8分の6拍子のアンダンテ・カンタービレで、調は変ホ長調。この楽章は短いが印象深い。第3楽章は再び変ロ長調で、2分の2拍子のアンダンテ・グラチオーソの主題による6つの変奏曲である。

♪ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364

母親との1年4ヶ月にわたるパリ、マンハイム旅行から帰ったモーツァルトは、パリで流行していた協奏交響曲をザルツブルクに紹介しようと、この曲を1779年の夏に書いたと考えられる。
 協奏交響曲という形式は、バロックのコンチェルト・グロッソを古典派の交響曲と協奏曲に融合させたようなもので、独奏協奏曲よりも変化に富み、管楽器を多用することで、交響曲の要素も持っている。今日はピアノ伴奏で演奏されるので、管楽器の活躍は残念ながら想像するしかない。
 この曲のヴィオラのパートは不思議にもニ長調で記譜されている。つまりニ長調で書かれたものを、変ホ長調の音にするためには、ヴィオラの4本の弦を半音高く調弦しなければならない。そうするとヴィオラの音が輝かしくなり、早いパッセージも弾きやすくなるのである。

 第1楽章は4分の4拍子のアレグロ・マエストーソで堂々と始まる。楽章の最後についているカデンツァは、ヴァイオリンとヴィオラの二重奏の趣きを持っている。
第2楽章のアンダンテはハ短調の4分の3拍子で、詠嘆調だ。これはパリ旅行で母を亡くした悲しみの現れだろうか。第3楽章は全く対照的な4分の2拍子の軽やかなプレストである。

◎演奏者のプロフィール


鈴木 まどか(ヴァイオリン)
1992年桐朋学園大学音楽学部卒業。同大学の派遣によりタングルウッド音楽祭に招待参加。1993年読売新人賞受賞。桐朋学園大学研究科終了後、水戸室内管弦楽団に参加。1997年日本室内楽コンクール第2位(ピアノ加納麻衣子とのデュオ)1998年ミュンヘン国際音楽コンクールデュオ部門セミファイナリスト。2003年より自主企画によるコンサート「ヴァイオリンと室内楽の楽しみ」を開催。これまでに、近藤富雄、伊藤美佐子、小国英樹、原田幸一郎、宗倫匡の各氏に師事。

佐々木 真史 (ヴィオラ)
1993年東京芸術大学卒業し、99年まで、同大学管弦楽研究部講師を務める傍ら各地で客演首席奏者。99年ハンブルクにて短期研修、深井硯章氏に師事。帰国後仙台フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者に就任。03-04年仙台フィルの首席奏者らによるセレーノ弦楽四重奏団のメンバーとして、 松尾音楽助成を受ける。03年原村音楽セミナーにて「緑の風音楽賞」を受賞。現在仙台フィルハーモニー管弦楽団首席奏者、バッハ協会管弦楽団首席奏者、セレーノ弦楽四重奏団メンバー。

國谷 尊之 (ピアノ)
東京芸術大学を経て同大学院修士課程修了。第4回ピティナ・ピアノコンペティションE級銀賞、第61回日本音楽コンクール入選、第3回日本室内楽コンクール第2位。作品や作曲家の背景を交えたトークコンサートシリーズを各地で開催する。CD「舞〜忘れられたワルツ」(ライブノーツ)をリリース。現在社団法人全日本ピアノ指導者協会評議員。東邦音楽大学、東邦音楽短期大学講師。